

フレンチブルドックの原産国はその名の通りフランスですが、さらにそのもとは1850年代に、イギリスのロンドンやバーミンガムやノティンンガムなどの工業地帯で人気だった小型のブルドックを改良して作られたと言われています。
産業革命を機にレース職人達はフランスに渡り、その際にコンパクトなタイプのブルドックも一緒に渡ったようです。トイブルドックとも呼ばれていたこの小さなブルドックは、肉屋や酒屋でねずみ取りとして役立ち、すでに害獣駆除の仕事を担っていたテリア種と交雑したようです。
トイブルドックは多くのパリジャンに愛される存在でした。個性的な外貌や特徴は、芸術家や作家からも人気でドガやロートレックによるパリ市民の生活を描いた絵画にも描かれています。さらには上流階級の人々にブルドック・フランセーズと呼ばれ人気を博するようになりました。
1870年~1880年代、パリの下町で熱心にブリーディングが行われ、体格がコンパクトに改良されました。イギリスからフランスに渡って進化を遂げた、小さなブルドックの最初のブリードクラブが、1880年に設立されました。
1885年にトイブルドックではなく、正式にフレンチブルドックと言う犬種名で登録され、1887年にはドックショーに初出品されました。
フランスで改良されたフレブルは、イギリスに逆輸入されるようにもなりました。1893年に6頭のフレブルをパリから輸入したGeorge krehl氏は、ロンドンのクリスタルパレスで開催された、ケネルクラブのドックショーにフレブルを出陣します。当時はフレブルの特徴であるコウモリ耳のほかローズ耳も多かったようで、現在の姿よりも長い脚を持っていたことが知られています。
アメリカでは1897年に開催された、世界最大級のウェストミンスタードックショーで、イギリス人の審査員がコウモリ耳のフレブルを評価し、これがきっかけでアメリカでは、コウモリ耳のフレブルが主流になっていきました。その上品で優雅なショーはお金持ちの観衆を魅了し、フレブルはアメリカ人たちを完全に虜にしてしまいます。
そして原産国フランスで1898年、フレンチブルドックのスタンダード(犬種の標準タイプ)が作成されました。ついにコウモリ耳が、正式なタイプとして定められるようになったのです。
逆輸入された当初はイングリッシュブルドックと交雑される恐れがあるなどとして受け入れられなかったが、徐々に愛好家が増え1903年には51頭がエントリーしてのフレンチブルドック単独のドックショーが開催されました。
イギリス王室にも人気が波及し、中でもエドワード7世がフレブルを愛犬にしていたのは写真に残っています。
日本には大正年間に紹介されたフレブルの人気は、今では世界各国に広がり、各国の熱心なブリーダーによって繁殖され、さらなる進化を続けています。

フレンチブルドックは、カラーが多彩なのも魅力の一つで、コートカラー(毛色)はブリンドル、フォーン、クリーム、パイドの4種類です。アメリカではパイドの中でもホワイト&フォーン、ホワイト&ブリンドルの名称で別カラーとして扱われています。
また、アメリカンタイプとヨーロピアンタイプと言う言葉を目にすることがありますが、AKC(アメリカンケネルクラブ)とFCI(国際畜犬連盟)、両スタンダードには多くの共通点がありますが、サイズと体重、また毛色についても相違点があるようです。
フォーンは明るい色(カフェオレ)から濃いレッドまでカラーの幅が広く、アメリカ(AKC)ではブラックマスク有り無しは問題ないようですが、FCIではフォーンはブラックマスクと関連付けられているようです。実際にヨーロッパでは、フォーンにはブラックマスクが一般的なようです。
アメリカでの明るいフォーンやクリームは、FCIスタンダードと異なった扱いになっているようです。FCIのスタンダードではカラーにクリームの記載がされていません。現在では世界的にもアメリカ系とヨーロッパ系など色々な系統がブレンドされた交配が行われているために昔ほどの大きな違いがわからなくなって来ている感じです。
スタンダードには、各人が求めるルックスや好みに対する余地が残っているので、ブリーダーは、自分好みのフレブルの作出に向けて努力しているのだと思います。

背中の線が腰の部分でわずかに高くなりシッポに向かって下降しています。この曲線が鯉(ローチ)に似ているためにローチバックと呼ばれています。
ペア・シェイプ:上から見たら肩幅よりも腰幅が狭く形が洋梨(ペア)に似ている
気持ちによってアンテナみたいに角度が変わり、色々な感情が現れます。リラックスしている状態だと開口部は前を向き頭の上にほぼ真っ直ぐに立っています。感情によって横を向いたり伏せたり、自在に角度が変わります。
シッポにつられてお尻も左右にスイングします。短いシッポは生まれつきです。お尻に密着した感じに生えていて先は細くコブ状になるかねじれています。シッポを振ろうとすると腰ごと動くのがユーモラスでキュートです。

下顎の方が前に出ている受け口(アンダーショット)なのでかたいフードはかみ砕きにくく丸呑みする傾向が有ります。ぬるま湯などで少しふやかしてあげるのも良いと思います。
脂性なので立ち耳(バッドイヤー)のわりに耳垢がたまりやすい体質です。汚れたままだと外耳炎になってしまうので、イヤークリーナーを付けたコットンなどで定期的に耳の中や周りを軽く拭いてあげましょう。綿棒は汚れが耳の奥に入ることもあるので出来るだけ使わない方が良いと思います。
平らな鼻で、少し出目の大きな丸い目をしているので眼球が傷つきやすいです。散歩や遊んだ後に、お手入れを兼ねてゴミなどの異物や眼球に傷などが無いかチェックしてあげましょう。
鼻ペチャで気道が短いといった体の構造のため熱の発散が苦手です。また、皮膚のトラブルも出やすい犬種です。暑さにめっぽう弱いので、気温の高くなった夏の散歩は早朝や日没後の涼しくなった頃に行うようにしましょう。コンクリートやアスファルトの上を歩くときは、路面温度(肉球の火傷)と輻射熱(フレブルは人間より路面に近いため熱が直接伝わってくる)などに注意してあげましょう。